Narcolepsy1999 / ナルコレプシー1999

日常にあふれる『かわいい』を描く





















略歴
1999年 神奈川県に生まれ
2020年 中枢神経系ナルコレプシー1型発症、看護学校中退
2021年 独学で絵を描き始める

■展覧会■
●個展
2022年8月 Narcolepsy1999 1st SOLO Exhibition”あくび”(RANITOS / 新宿)
2023年4月 Narcolepsy1999 2nd SOLO Exhibition”花遊び”(ZINE Gallery / 京都)

●グループ展
2022年9月 “Landmark” Any Kobe with Arts 2022 (LA REINE Artist Gallery / 神戸)
2022年11月 “100人10 Exhibition2022” (東京ミッドタウン / 六本木)
2023年2月 “CRUSH”(Concept store SEE? /神戸)
2023年3月 “LIBERTY OF WoVE”(渋谷スクランブルスクエア / 渋谷)
2023年3月 ”BITS AND PIECES”(DRELLA Art Gallery / 代官山)
2023年3月 “DREAM WITHIN REALITY”(ONEsGALLERY / ボストン)
2023年4月 “安妮美”(龙门雅集 / 上海)

■主なイラスト制作事例■
芸能事務所TopCoat『SAC Project Specialized Audition 第1弾&第2弾』キービジュアル(2022~)
福島県選挙管理委員会『第26回参議院議員通常選挙ポスター』キービジュアル(2022)
杉山清貴&オメガトライブ『Riverside Hotel Remix』リリックビデオイラスト(2022)
日建学院 ポスター、公式LINE、パンフレット等 イラスト&デザイン(2022~)
オーストラリア発香水ブランド MOTEL PARADISEパッケージイラスト(2022~)
多肉植物販売ブランドICHIRU ブランドイメージイラスト(2022~)
Chocola Meets チョコレートパッケージデザイン(2022~)
SLASH DANCE STUDIO “NEO EMOTION”キービジュアル(2023)
杉山清貴&オメガトライブ『DEAR BREEZE』リリックビデオイラスト(2023)

■受賞歴■
2022年11月 一般社団法人日本アートテック協会『100人10』 鏡作品”ミラーショット” 入選

■画集■
『UIZINE』(2022 / TIENOWA WORKS.Inc)


インスタ @narcolepsy1999

 

Interview

絵の勉強はどのようにしましたか?

2021年の初め頃から絵を描き始めたのですが、誰かに習うとか教室に通うという事は実はしたことがなくて、SNSに上がっている作品や街中のポスター、本の表紙や漫画、画集などを見て、「こんな絵を描いてみたい」と思った絵を模写をするというところから始まりました。すると全然上手く描けない事に気づいて、YouTubeやSNSで絵の書き方を解説している動画を視聴して、また描いてを繰り返すという事を当初はしていました。今年からアナログ作品の制作を始めたのですが、絵画展に行って作品をじっくり観察したり、画材の選び方とかを周りの画家さん達に聞いたりしながら、何度も実験を繰り返して、作品に反映させています。今でもたまにYouTubeで描き方解説を観たりするので、描き方の勉強という意味では動画が最も多いかもしれないです。

 

現在の作風になったきっかけは何ですか?

洋服や化粧品を選ぶ時も「このシルエットかわいい」とか「この色味かわいい」っていう感覚で選んだり、「このカフェかわいい」「この看板かわいい」「あの雲の形かわいい」とか、幼少期から現在に至っても、日常に「かわいい」っていう感覚で心が躍る瞬間が沢山あるんです。なので私の人生においてとても重要な「かわいい」という要素をちゃんと定義したくなったというか、「かわいいってなんだろう」っていう疑問が、今の作品作りにおける出発点なのかなと思っています。

また、私は作品づくりにおいて特に”色”に一番こだわっているのですが、私は三姉妹の末っ子で、幼少期の時に一番上の姉が青、真ん中の姉が黄色、私がピンク、の服や持ち物を買い与えられる事が多くて、当時ずっと長女が身につけている青色がかわいく見えて羨ましかった感情が強く残っていて、その当時の感覚のまま、今でも「この色とこの色はどっちがかわいいかな」って色同士を戦わせながら配色決めをしています。

 

モチーフについて、スケッチや撮影などの取材はするのですか?

取材は一度もした事がないです。してみたいです。モチーフが女性で、私自身が女性なので、iPadで動画を回しながら色んなポーズを取ったり、色んなシルエットの服に着替えたり、くるくる回ったり、ふらふらしたりして、後でその動画を静止させながら「このポーズいい!」と思った部分をスクショしてそれを資料にすることがほとんどです。定点撮影では難しいポージングの時は、友達や家族にiPhoneで動画を撮ってもらう事もあります。たまに姉二人にお願いしてモデルになってもらうこともあります。取材、してみたいです。

 

作品にどういう想いを込めていますか? 制作の根底にあるコンセプトを教えてください。

先程の作風の話でも触れた「かわいい」って言う感覚が大きなコンセプトではあるのですが、もっと根底にあるコンセプトや想いとしては、私の作品を見てくださった方が、作品から受け取る”空気感”や”気”というものが、全て”その人にとってのポジティブな内容”であって欲しいと強く想って制作しています。なので、所謂「病み要素」や「毒要素」というものをなるべく含ませないようにしています。私の作品をどこかに飾ってくれたとして、その空間における空気清浄機みたいな役割ができたとしたら、それは心から嬉しいです。なので、どのご家庭にも一つは用意していただきたいです。

 

制作工程を教えてください。

まずはiPadである程度完成に近いレベルまで仕上げて、出来上がった絵を見ながらジェッソで下地を塗ったキャンバスに鉛筆で線を引いて行きます。そこからはアクリル絵具、アクリルガッシュ、アクリルマーカー、メディウム等を使いながら描き進めていくのですが、大体最初にデジタルで描いた絵とは全然違う仕上がりで完成するので自分でもそれを楽しんでいます。

ミラー作品に関しては、iPadで制作した線画を鏡のサイズに合わせて印刷して、それをボードに貼り付け、カッターで切り抜きながら”型”を作ります。この型づくりが最も大変で毎回筋肉痛になります。型ができたら鏡に貼り付け、アクリルスプレーで薄く薄く何度も噴霧と乾燥を繰り返し、型を外して、細かいところを磨き上げ、最後にアクリルマーカーでラインを入れて完成させます。ミラー作品は体力と根気の勝負です。

 

最近、デジタルからアナログ作品に変わりましたが理由は何ですか?

ZINE galleryさんにも私を見つけていただくきっかけになった、2022年9月に神戸で開催されたAnyKobe2022に展示させていただいた際に、同じく神戸でカフェギャラリーを営んでおられるCONCEPT STORE SEE?のアートディレクター・Yangさんという方に、2023年2~3月にかけて行われる展示会のお誘いを頂きまして、その時の条件が「片想いをテーマに、今までの印刷作品ではなく、質感のわかる作品を作って欲しい」というものだったんです。なので、ジークレ印刷の上にメディウムやアクリルマーカーなどで加筆する作品5点とミラー作品1点を作る予定だったのですが、いざ開催直前になって、3点は印刷が間に合ったのですが、残りの2点は、どうやっても印刷業者さんのスケジュールが間に合わないという状況になってしまって、「絵具で描くしかない!いつかは描いてみたかったから今描くしかない!」っていう決断をしまして、筆とか絵具を初めて買って、その勢いと衝動を思いっきりキャンバスに反映させたのが『夢む』と『CHU』という初のアナログ作品なのですが、出来上がってみると、いつもと明らかに違う空気感を纏っているというか、存在感と儚さを両方持っているような不思議な印象を覚えたんです。デジタルの作品ももちろん大好きなのですが、今は、納得のいく色になるまで絵具を配合して混ぜて、キャンバスに塗って、乾いたら色味が変わって、バニッシュしたらまた色味が変わって、当てる光によってまた色味が変わってっていう不都合な感じにすっかり魅了されてしまったというか、楽しくて仕方がないのでアナログで描いています。あと、アクリル絵具の匂いがたまらなく好きで、脳みそが痺れる感じがして中毒になってます。

 

今回の展示で意識や挑戦することはありますか?

アナログ作品の展示としては、神戸グループ展『CRUSH』、渋谷グループ展『LIBERTY OF WoVE』、代官山三人展『BITS AND PIECES』を経て4回目となるのと、個展としては2022年8月新宿『あくび』以来の2回目になるので、とにかく「今やってみたいことを全部やる!」っていう気持ちで制作しています。全作品、攻め攻めのつよつよで参ります。楽しんでいただけたら嬉しいです!

 

インタビュー: 斧田唯志  (2023.04)