平野早依子 / Sayoko Hirano

「生命の輝き」を共通のテーマに、版画、木彫、ライブペインティング、壁画、パフォーマンスなどで国内外問わず活動する。

画家

 

 

 

平野早依子 Sayoko Hirano

出身-京都府

略歴
2009 年 同志社大学文学部卒業 個展

2019 年 いのちの音   (京都ホテル オークラ/京都)
2019年  Impulse  (Atelier Ceramic Art/バンコク)
2016年  Som de Vida  (Hotel Pullman São Paulo Guarulhos Airport/サンパウロ)
2016年  Circulation  (padGALLERY/大阪)
2015年  Sayoko Hirano Exhibition  ( Miyabi 45th/シアトル)
2014年  Imperfection  (綾小路ギャラリー武/京都)
2013 年 平野早依子展 (芦屋画廊/兵庫)
2012 年 1万日間  (Apartment Hotel Shinjuku/東京)
2012年  As It Is  (Artist Space CERO/大阪)

入賞 / アーティスト・イン・レジデンス
2019 年 Atelier Ceramic Art Artist in Residence (バンコク/タイ)
2018 年 山懐庵 Artist in Residence vol.9 (京都)
2015 年  Association Miyagi Kenjinkai of Brazil
2015 年  FAAP Artistic Residency (サンパウロ/ブラジル)
2014年 京都国際映画祭 2014 クリエイターズファクトリー入選
2014 年 Young Creators Award 2014 入選
2014年  V.A.A.D.第 7 回ビジュアルアート大賞展入選
2013 年 リキテックスアートプライズ
2013 入選 作品所蔵 Brazilian Art Museum FAAP (サンパウロ) 京都ホテル オークラ(京都)

 

Interview

出身は同志社大学ですが、絵の勉強はどこでされましたか?
幼少期から絵を描くことが大好きで、漫画家に憧れた時期もありますが、自分には誰かの人生を創作するのではなく己の世界観を表現する方が向いていると気付き画家を目指しました。京都市立芸大を受験しましたが ご縁がなく、同時にAO入試で同志社大学に合格をいただいていたのでそちらに入学することにしました。 一般大学ではありますが、元々好きだった英語を学び視野を広げながら制作を続けることも可能だと思ったからです。三回生からは大学の授業後にアトリエROJUEというデッサンスクールに毎日通い絵の基礎を学びました。

大学卒業後は就職されたのですか?
幸い両親は好きな道に進むのがいいよと言ってくれたこともあり、就職せずにアルバイトをしながら制作し、 卒業した年に貸しギャラリーで初個展をしました。当時はまだ青かったので、お客様から率直な意見をいただき 時には傷ついてしまうこともありましたが、画家としての洗礼を浴びた感じでしたし、結果的には作品も売れて 充実感がありました。また、お客様に「これからも描いて発表をしたいと思えるならこの個展は成功だね」 と言っていただけたことがとても印象に残っています。

初個展ではどんな作品だったのですか?
当時は様々な技法を試みましたが、油画や水彩画など塗料を「足していく」行為に馴染めず、逆に木を彫ることで「引いていく」木版画の魅力にビビッときました。一刀入魂のような技法が自分の性分に合っているみたいです。現在は木版画ではなく木彫を多く制作していますが、今回の展示では、2009年当時の初個展で出展した木版画の作品が大半を占めています。 【版木のような作品もありましたが、あれは実際に版画で使ったものなんですか?】 シリーズとして制作している版木のようなレリーフ作品は、それそのものが作品なので、刷ることを目的に 作ったものではありません。ただ中には、版木から1枚だけ版画を刷り、それとシンメトリーになるような 形で版木と版画を「二枚組で一作品」として展示した作品もあります。

よく南米に行ってるイメージがあるのですがなぜですか?
2012年の東京での個展にたまたま立ち寄ってくれたブラジル人の青年が私の作品に興味を持ってくれて、 サンパウロにある老舗美術大学のアーティストインレジデンスを教えてくれたことが最初のきっかけです。 全く知らない土地で不安もありましたが、元々南米に興味があったこともあり、これを逃したらもうチャンスはないと思い応募し、審査に通過したので参加しました。広大な大地や、現地でしか見られない植物の生命力と、それによって育まれた地元の方々の陽気さと逞しさに惹かれ、すっかりブラジルに魅了されてしまいました。 レジデンスから帰国した翌年にも数ヶ月滞在し、現地で個展をさせてもらったり、ポルトガル語を勉強したり しました。ブラジルで得たインスピレーションと自由な精神は今も心のどこかで私に力をくれています。


制作の根底にあるコンセプトを教えてください
版画、木彫、ライブペインティング、壁画、パフォーマンスなど媒体にとらわれず様々な表現を試みていますが、根底にある共通のテーマは「生命の輝き」です。14年前、人体デッサンを始めたところから私の作家活動はスタートしました。今もそれが原点です。人体デッサンを続けているうちに、人間の身体の美しさに惹かれ、その造形美を純粋に表現していたのが初期の木版画(今回の展示作品群)です。 そこから、木版画から木彫へと移行すると同時に、身体の外側だけではなく、内部に流れるエネルギーをも表現するようになりました。「生きていく」ことは、決して楽なことばかりではなく、苦しみも喜びも表裏一体だと思います。それでも、「生きる」ということ、「いのち」という存在そのものだけを見たとき、それは常に輝き、煌めいているものだと思っています。それを表現し、伝えられる作品を生み出していきたいです。


今回の展示に向けて一言
個展といえば新作ばかりが並ぶのが一般的なので、なかなか発表する機会のない過去作をまたみなさんに 見ていただけることがすごく有難いです。 一見すると現在の作風とは違って見えるかもしれませんが、これが原点でもあり今に繋がっています。 逆に今は作ることのできないものでもあるので、貴重な作品をコレクションしていただけたら幸いです。

インタビュー: 斧田唯志  (2021.12)