堀としかず / Toshikazu Hori

主に墨と和紙を使用し、和を感じさせるモチーフで自分の世界観を表現。 作品の中に数多く描かれているキャラクターのような生き物は”あらゆるものには命が宿っている”という日本古来の思想から発想を得ている。 妖精や付喪神とも言え、決して悪い生き物ではなく”純粋”である。 それら生き物の暮らしぶりを想像しながら、幻想的な和の雰囲気を楽しんでいただきたい。

画家
堀としかず

 















1991年 愛媛出身 大阪在住
2012年 京都嵯峨芸術大学短期大学部卒業

■主な展覧会■
2020年  「堀としかず×赤松亜美 二人展」/ あべのハルカス アートギャラリー(大阪)
2020年 二人展「二絵の重なり」/ 新宿伊勢丹(東京)
2020年 「ふつふつ」/ARTHOUSE(大阪)
2019年  「無二夢想」/ Hideharu Fukasaku Gallery Roppongi(東京)
2019年  個展「maha」/大雅堂(京都)
2019年  下村優介×堀としかず 二人展「すみきった世界へ」/ 新宿伊勢丹(東京)
2019年  個展「イラストと絵画の狭間」 / 大丸心斎橋店 美術画廊(大阪)
2019年  「永無郷」/ Alter Gallery(上海)
2018年  下村優介×堀としかず 二人展「紙々の墨処」/ 新宿伊勢丹(東京)
2018年  「愉悦とわ」/ 新宿伊勢丹(東京)
2018年  下村優介×堀としかず 二人展「桃源郷」/ 阪急梅田本店(大阪)
2017年  「金魚美抄展」/21世紀美術館(石川)
2017年  「火和」/日本橋三越(東京)
2017年  「Aka」/ARTHOUSE(大阪)
2016年  「余白」/ARTHOUSE(大阪)

■受賞■
2019年 UNKNOWN ASIA2019 MEBIC賞、レビュアー鈴木英美賞受賞
2018年 UNKNOWN ASIA2018 DPH賞受賞 2017年 ヤングクリエイターズアワード
2017MIギャラリー賞、オーディエンス賞受賞
2015年  ヤングクリエイターズアワード2015MIギャラリー賞受賞
2014年  アートストリーム2014アーツサポート関西賞受賞
2013年  アートストリーム2013出展大丸賞ハートス賞受賞
2013年  あかマルシェ2013出展あしたの箱賞受賞
2012年  読書週間イラストコンペ入選
2012年  京都嵯峨芸術大学卒業制作展卒業生特別賞受賞


Interview

画材は何を使っていますか?
和紙に墨や顔彩、水干絵具などです。支持体の和紙は手漉きの物を好んで使っているのですが、大きい作品になると、手漉きの和紙がないのでアートクロスを使ったりしています。

この世界観はどういうところから来ているのですか?
今まで自分の中の世界を旅するようなイラストを描いていました。世界観を自分で作るとなった時に、出会って衝撃を受けたのが池田学さんの作品でした。それからしばらく真似をしてペンで描いてみるとハマりましたね。現在の画風からは池田学さんからは離れていますが、「描き込む」という点では同じです。ペンで描くと線がハッキリ見えますが、現在は墨での微妙な濃淡を活かした表現なので、よく見ていただけると描き込んでいるのがわかるかと思います。植物も好きで、予測できないような歪な形も面白かったので、そういうのを取り入れているうちに自然とこういう世界観になりました。江戸絵画も好きですが、そういうのを見るようになったのは、和紙や墨を使うようになってからです。

下絵とかは描いてるのですか?
構図も含めて大体の当たりはつけておいて細かい部分は下描きもせずに進めるうちに変わって行くという感じですね。モチーフに関しては色んな画像資料を見て参考にし、割とガッツリ描き込んだスケッチを本作品へとトレースします。ただ、そのまま描くのではなく世界観に合ったようにアドリブで崩したりもします。

木工用ボンドやメジャーなど、違和感があるモチーフの意味は何ですか?
今までの作品の中にも、小さな妖精みたいなのを描いていました。見る方がどう受け取ってもらっていてもいいのですが、それは何かと訊かれたら「付喪神(つくもがみ)」だと答えています。古来から日本に伝わる、長い年月を経た大切にしている道具に神や精霊(霊魂)などが宿るというものです。それらは過去作では脇役として登場していましたが、メインのモチーフとして描きたいと思ったのが、この《付喪日和》シリーズです。それが僕の場合、身近な道具が木工用ボンドやメジャーだったんで、そこからシリーズとしてまた描きたくなったら描いて行こうかなと思っています。


《肢》という作品も、靴下や革靴といったミスマッチなモチーフですがその意図は?
使用している画材が和紙や墨というものなので、画面に面白味を持たせるためにも、できるだけ現代の物や洋的な物も積極的に取り入れていきたいなと思っています。また、人から植物が生えていたりして、一見するとホラーみたいにも見えますが、人も物も植物も同じ刻を生きて繋がっているというのをコンセプトに描いています。


アルファベットの屏風を作ったきっかけは?

2018年に開催された現代作家と表具師のコラボ展『九×9』の際に作りました。僕の作品は見るからに和風なので、そのまま掛け軸や屏風にしても面白く無かったので、「和×洋」を具現化してみました。また複数個の組み合わせによってカスタマイズも可能です。洋室にも飾れる屏風もできるのかなと。これを制作するにあたって表具師さんにも利益が出るようにしたいので、量産して商品化するということはしません。また制作には表具師さんの手も入るので、今のことろ値段はつけていません。


いつからプロの画家でいこうと思ったのですか?

学生の頃からです。実は就職も就職活動もしていません。入学式に京都嵯峨芸のOBで玩具プロデューサーの安斎レオさんが来られたことがありました。その後の新入生歓迎会みたいな席で高校時代描いた絵を見てもらったら気に入っていただき、彼が企画する「妖怪展(ARTHOUSE)」に参加したのが初めての校外展示でした。それがきっかけでARTHOUSEの企画展として初個展もしたのですが、これが思いのほか手応えがあったので調子に乗りましたね。(笑)それが自信となり就職など目もくれず制作ばっかりしていました。短大の2年間なんてあっという間で、卒業してから「あー、甘かったなぁ」と気付きバイトもしました。
現在では母校の非常勤講師はしていますが、画家だけでやっていけてます。


伊勢丹や阪急など、百貨店での展覧会をするきっかけとなったのは?

知り合いの作家さんの展示を見に東京へ行った際に知り合った方が、そのプロデューサーでした。色々と今まで結構運が良くてここまで来ています。絵のコンセプトじゃ無いですが、繋がり(御縁)ですね。ただ、その時に見せられる作品を普段から制作していたからというのはありますので、これからも描き続けます。

インタビュー: 斧田唯志  (2020.12)